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マーケティングとは「自らを知ること」小手先の手段に囚われない本質派マーケター あゆみ株式会社 扇英資氏

Webマーケティング総合サイト『ferret』と、総合転職情報サイト『マイナビ転職』が協同で立ち上げた、未来の若手マーケターを応援するサイト「Marketer’s Story(マーケターズ ストーリー)」。

こちらでは、現在『成長する企業』『注目を集めるサービス(プロジェクト)』で活躍するマーケターのインタビューをご紹介。具体的な業務内容や取り組み、普段垣間見えないパーソナルな部分を”生の声”としてユーザーに届けることで素顔に迫ります。

第7回目は、女性のキレイをつくるメモアプリ「mememo」(ミーメモ)や、女性の美肌づくりを応援するWebマガジン「LBR」、前向きに歳を重ねる女性を応援するWebマガジン「LAR」、すっぴん美人から美肌づくりのお作法を広める「日本すっぴん協会」など、女性の美容に関するWebマガジンやアプリを運営する、あゆみ株式会社のメディア事業責任者の扇英資氏にインタビューを行いました。

扇氏は、主に日本すっぴん協会、LBR、LARのプロデューサーとして、それぞれを立ち上げ、メディア運営全般を統括。各媒体のブランドづくりから規模拡大まで、ゼロから現在まで成長させてきた扇氏に、これまでの経歴と現在、そして未来についてお話を伺いました。

弁護士志望からマーケティングの世界へ。自ら事業を動かして勝負をするために転職を決意

◆ferret編集部(以下、ferret) まず、扇さんの経歴を教えてください。

◆あゆみ株式会社 扇英資氏(以下、扇氏) 実は、幼少期から大学3年生くらいまでは弁護士志望でした。大学は法学部法律学科でしたし、大学に通いながら専門学校へ通うダブルスクールもしていました。

大学3年生になって就職活動が始まったとき、「なんで弁護士になろうとしているんだろう」と疑問に思いはじめて。子供の頃から弁護士になりたいと思っていたものの、特に深く考えてはいなかったんです。よくよく考えると、企画が好きだったな・・と思ってからすぐに、テレビの制作セミナーや広告の勉強会などに参加し始めるようになりました。そこで、広告やマーケティングがおもしろいなと思いました。先輩にすごい人が多かったこともあり、こういう人たちのように活躍したいなと思い、広告業界を志望しました。

◆ferret そして広告代理店に就職をします。

◆扇氏 広告代理店をメインに就職活動をして、中堅の広告代理店に入社しました。もともと負けず嫌いなところがあるので、中堅の代理店に就職したけれど、大手の人たちに負けたくないという想いがあり、自分でいろいろできるようにならなければと思っていまして。同年代の広告やメディア関係者の交流会を毎月実施することで繋がりを広げはじめました。ネットワークは武器になると思っていたので。

また、元々好きだったこともありますが、新しいことならば負けないのではないかということで、デジタル領域について勉強したりセミナーに参加したり、twitterで業界の先輩方に話しかけて飲みに連れて行って頂いたりとオフの時間もいろいろと活動していました。

社内にはメディアの部署はありましたけど、デジタル戦略に特化した部署がなく、詳しい人もいなかったので「じゃあ自分でやればいいよね」という感じでしたね。デジタル系の提案を勝手に自分でプランニングして新規で提案しに行くというようなことも、自ら作ったネットワークを上手く活かしながら1年目のときからやっていました。

そうしていたら、デジタルビジネスセンターという部署の立ち上がりのタイミングで引っ張られて、そこで営業兼プランナーとしてデジタルに特化しはじめました。

◆ferret その後、今のあゆみ株式会社に転職されます。

◆扇氏 前の会社には2008年4月に入社して、あゆみには2012年の2月に入社しました。ちょうどあゆみで、mememoというアプリが立ち上がっていたのですが、事業責任者が一人でやっているという状況でした。その責任者が学生時代に参加していた広告の勉強会の先輩だったということもあり、相談されていまして。相談に乗っているうちに「戦略の責任者としてこないか?」と誘われて、転職するということになりました。

当時、mememoを作ったけれどもビジネス的にどうするかというビジョンがない状態だったので、それをどうしていったらいいのかというところからやっていくというような感じでした。立場としては、事業・マーケティングの戦略責任者という形で入社しました。

今のアプリだけではグロースが難しい。幅と可能性を広げるために「美容」をメインに女性を応援するメディアを立ち上げる

◆ferret まずアプリが立ち上がって、その後さまざまなWebメディアを展開していくわけですね。

◆扇氏 あゆみのミッションは「女性がありのままの自分を好きになれるように」というもの。それを美容の領域でお手伝いできればという想いがあります。

現状ですと、4つのサービスでそのお手伝いをしています。

私の入社前に立ち上がったmememoは、毎日の美容・健康に関する情報を記録することで自分の状態を知ることができるアプリです。睡眠、体重・体脂肪率、生理・基礎体温、食事、ひとこと、お肌メモ、など幅広くひとまとめに記録できることが重宝されています。

日本すっぴん協会は、「わたしのすっぴんを、好きになる。」をコピーとして掲げ、女性が憧れるようなかわいい・きれいなモデルさんやタレントさんを中心に、すっぴんで出演してもらい、その美肌の秘訣を発信することで参考としてもらう「すっぴん美人図鑑」をメインコンテンツとしたWebメディアです。その他にもコラム連載であったり、使用しているアイテムの紹介、またこれから美容誌で活躍する美容業界の専門家の方々からも美容法を発信していただこうとしていて、人を軸に展開しています。

LBRは、立ち上げ当初の2012年に、Web上に信頼できる美容情報が全然無い・・という危惧から始めた20-30代女性に向けた美容Webマガジンです。なので、ライターも専門家を中心として契約し、編集も手間をかけて記事質を大事にし、記事配信を中心に媒体規模を拡大してきています。

LARは、LBRのノウハウを活かして、2014年に立ち上げた、30-40代女性に向けてエイジング情報を届けるための美容Webマガジンです。実はエイジング情報もなかなか特化して配信しているところがなく、ニーズがとてもあるなと感じています。こちらも専門家ライターの記事を配信しています。

実は今、最初に紹介したmememoというアプリに力を入れていて、2016年10月に、記録をするだけでなく、目的や年代に応じて、自分にあった美容情報を届ける美容アドバイスアプリとしてリニューアルしていて、ここから頑張っていこうというところです。

◆ferret 現在、社内の体制はどうなっていますか?

◆扇氏 mememoの担当、LBRの編集長、LARの編集長、広告営業担当がいます。私を合わせて5人ですね。女性メディア事業なこともあり、私以外は全員女性です。日本すっぴん協会は現在社内には専属の担当がいないので、私が主に企画運営を、会長で美容家の岡本静香さんと協力しながら行っています。

5人ではありますが、編集に関しては編集プロダクションさんと10名弱の編集部を構成していたり、各媒体制作・開発パートナーもいますので、社内外含めると初期の頃を考えると大きくなってきたなと感じますね。

また情報を主に配信するLBR・LARの記事の質にはずっとこだわってきていて、ライターは美容・健康関連の専門家と契約し、編集部・編集長で3段階で校正・編集をしています。

◆ferret 扇さんは、会社の責任者という立場でお仕事をされているという感じでしょうか。

◆扇氏 そうですね。事業計画をどうするのか、予算を管理して全体でどうやって運用していくのか、各メディアをどのようにグロースしていくのか、メディアとしてどうやってブランドを作っていくのか、マネタイズをどうするのか。そういう感じで全体を見ています。

もともと営業も私がやっていたのですが、最近ようやく営業担当が入りまして。日本すっぴん協会に関しては、サイトディレクションもしていますし、キャスティングもしています。LBRやLARも、いいライターがいれば声をかけて記事を書いてもらうように話をしたり、配信提携先を見つけてきたり、今でも営業もプランニングもしていますし、結構なんでもやっています。

LBRやLARは担当がいるので、編集やライティングはやっていませんが、以前はLBRの編集長も担当していました。

幅広い世代の美容に関する悩みを解決するために、アプリとメディアの連動を開始

◆ferret 扇さんは広告代理店出身ですが、転職していきなりメディアの現場責任者を任されたわけですが、その経緯を教えてください。

◆扇氏 先ほども話しましたが、学生時代の先輩があゆみで事業責任者をやっていたのですが、女性向けメディアをどう運営していいのか、アプリをどのように成長させたらいいのか、手探りの状態だったようです。

実は、転職する前からあゆみの打ち合わせには参加していて(笑)。当時はmememoがあるだけの状態で、どうやってグロースさせていくか誰もわからない状態でした。広告も入っていないし、課金機能もない。それでは事業として持続可能ではないと思ったので、他と提携しやすくグロースしていけるメディアを立ち上げて、収益化するように提案しました。それが日本すっぴん協会とLBRです。それぞれ2012年7月と2012年11月にスタートしました。

日本すっぴん協会は20代の女性、LBRは20代から30代、いわゆるアラサー世代の女性に向けたメディアです。

2年ほどそれぞれのメディアを運営して、社内的にもメディアの拡大や運営について可能性を感じました。そこで今度は若い世代ではなくて、エイジングの観点で広げていこうということで、2014年6月にLARを立ち上げました。

LARは30代から40代のアラフォー世代の女性向けとなっています。

ここで、幅広い年代に向けたメディアを持てたということと、メディア事業もアプリでの転換を推進しなくてはいけない状況だったこともあり、mememoとの連携を始めました。具体的には、記事レコメンド機能の追加です。

美容の情報は、自分にあっているかどうかがとても重要だと思います。しかし、ネット上には情報が多すぎて、自分にあっているかどうかの判断が難しい。そこで、私たちは個人個人の悩みにあっている情報をmememoで提供していくために、2016年10月にリニューアルを行って、レコメンド機能をつけて、目的と年代に合わせてLBRとLARのおすすめ記事を提供するという感じになっています。

「かわいい」を軸にすることで男性にも女性にもリーチ。しかし中身は徹底して美容にフォーカス

◆ferret 扇さんは、メディア運営の経験がなかった状態であゆみに入社したということで、苦労したことがいろいろあったと思うのですが。

◆扇氏 立ち上げ当初の構想は思い通りにいったと思います。LBRとLARに関しては、記事配信を中心に規模拡大をしていこうという構想がありました。現在28媒体と配信提携をしていて、配信先が増えることでSEOの強化、検索流入も増えて、配信先からの流入も増えて、ソーシャルも強化されていくという感じで伸びてきました。

日本すっぴん協会に関しては、「男性はイケメンに憧れないけど、女性はかわいい・きれいな女性に憧れる」というところから始めました。男性も女性も、かわいい女の子に関してはソーシャルで拡散してくれると思っていました。プレゼンでも「かわいいは正義だ」と真顔で言っていましたね(笑)。

かわいい女の子が出ていれば、男性も女性も見てくれる。そしてその人の美容情報が出ていれば、女性は興味を持って残ってくれると信じていました。女性は憧れの女性の美容やファッションを参考にしたがる傾向が強いので、男性が拡散しても結果女性にリーチするんです。かわいいを軸にしていますが、中身は徹底して美容にこだわっています。女性が知りたい情報を突き詰めた結果、人にフォーカスを当てたのが、日本すっぴん協会です。

同時に、メディアのレベルを上げる努力もしています。

しかし、LBR、LARに関して配信で伸ばしていくというのが苦しくなってきていて。立ち上げた2012年のころは、女性向けのメディア、特に美容に関するメディアはそれほどなかったので、記事を配信すれば伸びるという状況でしたが、現在はかなり増えてきており、ある一定のパイを奪い合っている状態になっています。

当初から配信先依存ではなくて、ソーシャルなどを念頭に置いた運営をしていればよかったなというのは、現在になって思ったりしていますね。

◆ferret 扇さんのなかでは、LAR、LBR、日本すっぴん協会をどのようなメディアにしていきたいと考えていますか?

◆扇氏 Webメディアにおいてベンチマークするような競合はあまりいないと思っています。どちらかというと雑誌が競合であり、協業したいですね。日本すっぴん協会もテレビや雑誌に出ている人が出るのが当たり前になってきていて、最近ですと筧美和子さんや堀田茜さん、川島海荷さん、菊地亜美さん、菅野結以さん、近藤千尋さんなどに出ていただいています。日本すっぴん協会も、LAR、LBRも、これからは媒体のブランドを強化していくことで、結果規模拡大を目指していこうと考えています。

▲日本すっぴん協会に登場するモデル・女優・タレントの筧美和子さん(同サイトより引用)

マーケティングとは「自らを知ること」。現状把握とできることを愚直にやっていくことが重要

◆ferret 扇さんは未経験からメディアやアプリの運営を行ってきたわけですが、そこには業界の動向を見極めるマーケティング的な視点が欠かせないと思います。扇さんはマーケティングを行う際に大事にしていることはありますか?

◆扇氏 当たり前かもしれませんが、自らをちゃんと知ることがまずは一番重要だと思います。マーケティングというと、ソーシャルメディアマーケティングやコンテンツマーケティングといった手法が先走りがちな気がするんですけど、一番重要なのは、現状を把握して、これからどうなっていきたいのか、その差分をどう埋めていくのかというところだと思います。

また、一気にすべてが変わるということもあり得ないと思っています。無理に一気に広げようと、小手先のテクニックでやっていくとどこかで失敗してしまう。やはり、できることを愚直にやっていくということが、マーケティングでは重要なのではないでしょうか。

Marketer’s Story Interviewee

あゆみ株式会社 美容メディア事業責任者
扇 英資(おおぎ えいすけ)

略歴:中央大学法学部卒業後、広告会社に入社。営業を経て、デジタルの新規部署立ち上がりと共に異動。 その後、2012年2月にあゆみ株式会社の美容メディア事業の立上げに戦略責任者として参画。Webメディアを複数立上げ、プロデュースからキャスティング・編集・ディレクション・マネタイズなど幅広く関わる中で、採用にも携わり、事業責任者に就任。 現在は、一部メディアのキャスティング・ディレクションにも関わりつつ全体を統括し、事業開発・プロデュースに専念できるよう人員体制を強化するべく動いている最中。

あゆみ株式会社 http://aym.co.jp/


次回、 Marketer’s Story 第8回目は、株式会社エアーエンターテイメントのart Directer、木村直人様に登場いただきます。次回もお楽しみに!

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