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「『転職はリスク』と思うことこそがリスク」Googleエバンジェリストを辞めてメドレーへ入社した田中大介氏

Webマーケティング総合サイト『ferret(フェレット)』と、総合転職情報サイト『マイナビ転職』が協同で立ち上げた、未来の若手マーケターを応援するサイト「Marketer’s Story 」。

こちらでは、現在『成長する企業で』『注目を集めるサービス(プロジェクト)で』躍動するマーケターにインタビューを行ってまいります。ユーザーに活躍するマーケターの業務内容や取り組み、そして普段垣間見えないパーソナルな部分を”生の声”として届けることで、ユーザーのモチベーションアップ、向上心を掻き立てる存在になれればと思っております。

第6回となる今回は、Googleのエバンジェリストを経て、株式会社メドレーに入社しオンライン診察アプリ「CLINICS(クリニクス)」の運営に携わる田中大介氏に、これまでのキャリア、そしてマーケティングの取り組みについて伺いました。

「通常のBtoBマーケティングとは大きく違う」医療現場でのマーケティングとは

◆ferret編集部 (以下、ferret)  株式会社メドレーとはどのような会社でしょうか?

◆株式会社メドレー 田中大介氏 (以下、田中氏)  まず会社の立ち上げからお伝えすると、代表の瀧口が身内に医療不幸があって、「今の医療を変えたい」と思って立ち上がったのがメドレーという会社なんですね。いろいろと問題を見ていくと、まずは根本に慢性的な人材不足があることがわかり、まずは求人からやろうということで始まったのが、いまメドレーのメイン事業になっている医療介護求人サイト『ジョブメドレー』です。

次に、タイムリーに更新され続け、常に正しい医療情報を手にいれることができるサイトが必要だということで、会社名を掲げて立ち上げたのが『MEDLEY』というオンライン病気事典です。昨年、不正確な医療情報がWebで拡散されていることが問題となりましたが、『MEDLEY』では500名以上のドクターが共同編纂する体制のもと、社内の医師や薬剤師など、医療知識を持つ者が執筆をしています。『MEDLEY』は直近での大きなマネタイズは考えておらず、正しい医療の情報を届け、社会に少しでも貢献するために運営しています。
そして遠隔診療ソリューション『CLINICS』は2015年8月の厚生労働省による通達による実質的な規制緩和をきっかけとして生まれた事業で、2016年2月にローンチしました。いま僕が携わっている事業になります。
(遠隔診療のサービス開発の契機についてはメドレー社のこちらのブログを参照ください)

▲CLINICSはスマートフォンで医師の診療を受けられる遠隔診療サービス(サービスサイトより引用)

◆ferret CLINICS事業部における田中さんのミッションは何になりますか?

◆田中氏 日本全国の医療機関にCLINICSを知ってもらい、利用してみたいと思ってもらうことがミッションです。CLINICSは、ユーザー(患者)が医療機関に診察予約をし、ビデオチャットで診察を受け、クレジットカード決済をする、「オンライン診察」という新しい体験を支援するためのシステムです。まず医療機関にCLINICSを導入して頂くことで、その医療機関に通院する患者が「オンライン診察」を受けられるようになる、というモデルとなっています。僕のミッションは日本全国の医療機関にCLINICSのことを知ってもらい、CLINICSを利用して「オンライン診察」を導入してみたいと思ってもらうこと、そしてその結果として一人でも多くの患者さんに「オンライン診察」という新しい体験をしてもらうということ、になります。

◆ferret 医療機関にとって遠隔診療ソリューションを導入するメリットはなんでしょう?

◆田中氏  大きく3つあります。1つ目は「治療継続率を高めることができる」ということ。オンライン診療は、移動時間、待ち時間、往復の交通費など通院にともなう様々なコストを実質ゼロにすることができます。なので、例えば治療を始めることや続けることがめんどくさくて通院を止めてしまいがちな「血圧は高いものの自覚症状がないビジネスパーソン」などに対して、こうした通院にオンラインを組み合わせて早期に治療することができれば、数十年後の脳血栓などを防げるかもしれません。また医療機関側からすると、長期的に患者の治療を継続することで収益面でのメリットもあります。

2つめは遠隔診療というのが現在非常に「注目度が高い」ということ。例えばCLINICSを導入すること・遠隔診療を開始することを、地元紙などのメディアで取り上げてもらい、それを見た地域の方が来院されるというケースも出てきています。これは医療機関からすると、新規集患マーケティング的に言えば集患効果が高まりますし、他のクリニックなどと差別化できるポイントにもなり得ます。

3つめは、医療の質を高めることができること。これまで対面で「お薬飲んでますか?」と聞いても、その人の回答を信じるしかなかったんですね。だけどビデオチャットであれば、「では今お薬を持ってきてください」と残薬確認ができるんです。また精神疾患の患者さんであれば、昼の2時の診察で、明らかに起きたばかりの様子だったら「この患者さんの生活習慣は大丈夫かな?」と疑うことができる。そういったビデオチャットならではの診察ができるというのは、医療の質を高めることにつながる要素だと思います。

◆ferret 規制緩和など外部環境に左右されやすい中、どういった体制でクリニックの開拓を行っているのでしょうか?

◆田中氏 サービスを開始して約1年で累計200以上の医療機関様に登録頂いています。体制としてはフルタイムでないメンバーも含めてセールスは15名ほどいます。セールスプロセスに応じて幾つかの役割を設けて効率的な組織体制にしています。
そして、実際に行っている日々の活動はとても泥臭いものが多いです。かっこよくデジタルマーケティングを回しています、という感じではなく、オフライン(それこそチラシを作ったりアウトバウンドコールをしたり)の活動も相当数行っていますし、他社とのパートナーシップを締結する、など中長期の活動を行っています。考えられる施策は全てやるようにしています。

メンバーが納得するのはロジックよりも「腹落ち感」

◆ferret 大学時代からメドレー前職のGoogleに入社するまではどういったキャリアパスだったのでしょうか?

◆田中氏 新卒でアセットマネジメントの会社のセールスをした後、ソフトウェアの不具合を検証するベンチャー企業に転職し、新規事業開拓の担当になりました。
新規事業開拓のためにiPadを買ってDropboxを使ったり、Gmailを使ったり、当時新しかったサービスを色々試すなかで、Google Appsに出会ったんですね。お客さんも僕自身も「Google Apps超便利じゃん」と感動したのがGoogleに興味を持ったきっかけでした。その後、Googleが「Google Apps」の部署でたまたま人材募集していたのを見つけて応募しました。

◆ferret Googleに入社したのはいつ頃ですか?

◆田中氏 2011年の終わりくらいですね。いま思うと、一貫性のないキャリアなんですよ(笑)。Google時代もいろいろな部署で自由にトライさせてもらって、たとえばビデオチャットとかを効率的に使ってセールスをする、というのをやっていたり。その後、セールスパートナー企業のフォローアップを行うような業務をするようになりました。パートナーのフォローアップ施策っていろいろ考えられますが、「セミナーをやることでパートナーが喜んでくれるのは?」とセミナーをやることになって。

実はプレゼンテーションを体系的に学んだことはなかったんですけど、僕自身も登壇を重ねる中です、「あれ、自分結構プレゼンテーション得意じゃん」ということでエバンジェリストとして様々なセミナーなどで講演活動をするようになりました。。そしてGoogleを4年半ほど勤めて、いまのメドレーに移りました。

◆ferret なぜGoogleを辞めてメドレーに入られたのですか?

◆田中氏 もともと大学の同級生で、メドレーの法務統括責任者である田丸と飲もうという話になり、その場でメドレー代表取締役社長の瀧口に会いました。Google Appsもクラウドサービス販売だし、CLINICSも同じくクラウドサービスだったので、お互いの仕事の話をいろいろしたんです。僕はGoogleにいるとき、クラウドサービスを販売する組織の「型」を経験していたということもあり、組織づくりの話もしました。

そしたら瀧口から「そういった組織づくり、手伝ってくれない?あと、セミナーもやってるんだよね。マーケティングの分野を手伝ってくれない?」って誘われたんですよ(笑)。Googleはご飯も三食出るし、誰もが知っている大企業だし、現状のキャリアには満足していたので、当時は全然転職する気持ちはなかったんですけど。

だけどその後、代表取締役医師の豊田も交えてあらためて話した時も、豊田が「ベンチャーだからリスクはあるけど、みんなプロフェッショナルだから、いざとなったらどうにかなるじゃん。田中も体鍛えているし……!」みたいな感じで言ってくるんですよね。体を鍛えているからなんなのかは意味不明なんですが、たしかにいざとなったら何かしら食い扶持はあるだろうし、そうした熱意を持った話を聞いていくうちにメドレーが描いている未来に魅了されたことで、「よし、やるか!」となりました。

◆ferret それまでマーケティング経験はなかったと思うのですが、メドレーではどういったPDCAサイクルを回されているのでしょうか?

◆田中氏 あらゆる手段を考え、人に聞き、試して、修正して、というのを高速でやっている形ですね。メドレーに入社してかなり初期にやった仕事がマーケティングオートメーションツールの導入や営業支援ツールのフロー設計なのですが、周辺業務での経験はあってもそういった仕事そのものはやったことなかったわけですよ。だからベンダーさんや詳しい人にひたすら聞きながらトライしました。

◆ferret そういったスピード感で現場のマネジメントは大変ではないですか?

◆田中氏 メドレーって「これは無理だな」ではなく、「こうやるべきだ、どうできるだろう?」と考えるメンバーばかりなんですね。しかも、やるべき理由があれば、「今からこう動くよ」と言ってもすぐに納得してくれるんです。普通だったら、方針が変わったりするのを嫌がるじゃないですか。だけどメドレーのメンバーは「僕たちは新しいことに挑戦しているんだから、どんどん新しいことをしていかないといけない」というマインドが共有できていると思うんです。
ただ、そんな組織でも僕は「腹落ち感」を一番大事にしています。人間はどれだけロジックが正しいことでも、 しっかりと自分で腹落ちしていないことには高いモチベーションを持って取り組むことができないものだと思うんです。チームの指針に対して違和感を感じていそうなメンバーがいるときは腹落ちするまで一緒に考えたり話したり、ということを意識しています。

「転職はリスクと考えることこそがリスク」

◆ferret 田中さんが描かれている今後のキャリアパスはどういったものでしょうか?

◆田中氏 これからもワクワクする市場、ワクワクするテーマ、ワクワクする人に関わっていきたいなというのは常にあります。セールスとかマーケティングとか、職業へのこだわりはあまりないんですよね。CLINICSのマーケットは全く新しい市場を切り開く厳しいマーケットではあるんですけど、絶対社会的に意味があることだからワクワクしてるんですよ。そういったワクワクを実現していけたらいいなと思っています。

◆ferret 田中さんの座右の銘はなんでしょうか?

◆田中氏 「勝ったら運、負けたら実力」っていう言葉です。負けたときに運のせいにするのではなく実力不足であると思うことって大切だなと。

仕事も100%実力だけで決まることってなかなかないじゃないですか。運だったり、他の人の頑張りだったりで成果が変わる。なのでうまくいったら「環境がよかったんだな」と思い、うまくいかなかったら「自分に足りないことがあったんだな」と常に思うようにしてます。

◆ferret 田中さんは今回、ある意味で運命的な転職をされていますが、これから転職をする人へアドバイスをお願いします。

◆田中氏 転職をしたことがない人からすると、転職はリスクというふうに捉える人が多いと思うんです。特に大企業からベンチャーの場合。だけど、「転職はリスク」と思っていること自体がリスクだと思います。月並みではありますが、所属している組織や会社がずっとうまくいくとは限らないわけで、これからの時代は、いろんな会社を知っている、いろんな業態を知っている、様々な経験がある、というのはむしろメリットですからね。

なぜその会社をやめるのか、どうして新しい会社にはいるのか、そのストーリーがしっかりと自分の中で腹落ち出来ていて、他の人にも自信を持って語れるのであれば、全く別業界でも、別の職種へのチャレンジであっても、間違いの無い転職になるのではないか、僕はそう信じています。

Marketer’s Story Interviewee

株式会社メドレー CLINICS マーケティング統括責任者
田中 大介(たなか だいすけ)

略歴:東京大学経済学部経済学科卒業。国内金融機関を経て、Googleに入社。法人向けクラウドサービス"Google Apps for Works"のエバンジェリストとして年間100回以上の公演を行う。メドレーでは、CLINICS事業のマーケティング統括責任者を務める。

株式会社メドレー http://www.medley.jp/


次回、 Marketer’s Story 第7回目は、あゆみ株式会社の美容メディア事業責任者 扇英資様に登場いただきます。次回もお楽しみに!

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