「マーケティングはビジネス、デザイン、コミュニケーションの融合」世界No.1アプリ情報プラットフォーム App Annie 羽田隆広氏

Webマーケティング総合サイト『ferret(フェレット)』と、総合転職情報サイト『マイナビ転職』が協同で立ち上げた、未来の若手マーケターを応援するサイト「Marketer’s Story 」。

こちらでは、現在『成長する企業で』『注目を集めるサービス(プロジェクト)で』躍動するマーケターにインタビューを行ってまいります。ユーザーに活躍するマーケターの業務内容や取り組み、そして普段垣間見えないパーソナルな部分を”生の声”を届けることで、本当の素顔に迫っていきます。

第3回目となる今回は、世界上位100位のアプリパブリッシャーの9割以上が利用する世界ナンバー1のアプリ情報プラットフォームを提供するApp Annie(アップアニー)のアジア太平洋地域マーケティング統括担当ディレクター 羽田隆広氏に話を伺いました。

営業拠点のある4ヵ国をメインに、アジア太平洋地域全体を牽引するマーケティングディレクター

◆ferret編集部 (以下、ferret)  まずは、App Annieの事業内容について教えていただけますでしょうか。

◆App Annie 羽田隆広氏(以下、羽田氏)  App Annieは、"アプリ情報プラットフォーム"を提供する会社です。本社はアメリカ・サンフランシスコにあり、モバイルアプリの市場データと分析ツールをお客様に提供しています。現在、世界15都市に拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。

例えば、アプリ事業者が市場を理解するためにApp Annieが提供するデータを活用して「どの企業が競合なのか」「どのくらいの市場規模があるのか」ということを把握することができます。世界中のアプリのデータを分析することで、アプリ事業者のマーケティングを支援している形になります。

それに加えて、他社主催のイベント出展やApp Annie主催のイベント「DECODE(ディコード)」も定期的に開催しています。各都市で開催される「DECODE」では著名な方をゲストスピーカーとして招待するため、お客様からも非常に好評です。

◆ferret 現在、どのような立場で、どのような業務に就かれているのでしょうか。

◆羽田氏 アジア太平洋地域(APAC)のマーケティング統括担当として、営業拠点4ヵ国(日本、中国、韓国、シンガポール)にいる、マーケティングメンバー10名をマネジメントしています。

その営業エリアは広域で、日本をはじめ、韓国、中国、香港、台湾、東南アジア、インド、オーストラリアといった国が対象です。こうした国々におけるApp Annieの認知度向上や販売機会の創出、 顧客ユーザーのエンゲージメントを高める事を目的にした活動を展開しています。

営業拠点4ヵ国のマーケティングチームの活動を把握し、営業・開発という側面から戦略を練ったり、本社アメリカの各チームやAPACの営業4拠点とコミュニケーションを密にとって連携強化を図っています。またそれらにまつわるROIを定義することも私の業務の一つです。

「問題を解決して市場をつくる」というコトラーの言葉を胸に、最高のメンバーとともにゼロからイチを作り上げる 

◆ferret 羽田さんはどこを拠点に活動されているのでしょうか。

◆羽田氏 アメリカ本社を含めて、世界各国を飛び回ることを考慮して動きやすいシンガポールを拠点に活動しています。ただ、それでもシンガポールには月の半分もいません。

ちなみに、今回は日本(東京・品川)で開催されている「ワールドマーケティングサミットジャパン 2016 」に一般参加するため、日本に来ていました。

今後のアプリ業界の動向もさることながら、フィリップ・コトラー氏の登壇をはじめ、日本のマーケターが抱える課題等も聞くことができ非常に有意義な時間でした。

特に、フィリップ・コトラー氏の『顧客の問題を解決し、市場をつくる』という言葉がすごく印象に残りました。私の口から偉そうなことは言えませんが、自戒も込めて申し上げると、現職に於いては、アメリカや弊社のその他の開発拠点で作られたApp Annieの製品・サービスをアジア各国に合うようにローカライズして、本当にユーザーが求めているものをつくりだしたいと考えています。コトラー氏のこの言葉は常に意識しなければならないメッセージだと感じましたし、これこそが目指すべき"マーケティング"の姿だと思います。

◆ferret 続いて、これまでの経歴について教えていただけますでしょうか。

◆羽田氏 アメリカ東部にあるリベラルアーツ(リトルアイビー)の一つであるウェズリアン大学(建築学科)を卒業後、ニューヨークの建築事務所に勤務していました。在米中は文化人やアーティストのアシスタントも経験しています。

その後、日本に帰国して、 外資系飲料メーカーのマーケティング関連会社に転職し、その会社で初めてマーケティングに関連する職務に就きました。具体的な業務内容としては、リテール店舗のチャネルマーケティング活動の一環として、広告映像の企画及びディレクションなどを担当していました。

一見、建築からかけ離れた「マーケティング職」への転職のように見えるかもしれないですが、実はそうでもないんです。

最近話題の『デザイン思考』という言葉がありますが、この言葉が意味する内容は、建築デザインの教育現場で多用され私も訓練を受けてきました。それが IT製品、またはそれらを生み出すために必要な組織作り・マーケティング活動であろうと分野に関係なく、非常に親和性が高く有用であると日々実感しています。

◆ferret 「建築」から「広告・マーケティング」に。この変化に違和感はなかったですか。

◆羽田氏 確かに、多くの方がそう感じるのも無理はないです。ただ、これは学生時代から感じていたことなのですが、デザインを勉強している時にも「もう少し広い意味でビジネスとかかわっていきたい」という想いがありました。建築系という枠組みの中だけではなく、もっと様々なものに触れて刺激を得たいという気持ちですね。

◆ferret 1回目の転職は何歳の時だったのでしょうか。

◆羽田氏 26歳の時です。転職先は、今年10月に東京証券取引所マザーズ市場に上場したユーザベースです。当時は従業員スタッフが10名足らずというスタートアップでした。

入社を決断した理由は、昔からIT系に強い関心があったことも一つですが、MBA取得のためにアメリカに行くような感覚です。スタートアップかつビジネス情報を扱っている会社で働ける、というワクワク感から転職を決めました。

とはいえ、当時は社員10名しかいない環境だったため泥臭い場面も当然あります。例えば、統計情報やIR資料からデータを引っ張ってきて、それを製品に格納するためにデータ化する作業などです。最初は手探りでかなり大変な作業でしたが、その業務を通じてディレクション業務の重要性と勘所がつかめ、その後アルバイトの方への指示出しを含め業務全体がスムーズになりました。この経験は大きく、今でもマネジメントを行う場面で非常に役立ってます。

コンテンツ更新のオペレーションができ上がってきたところで、国内外のコンテンツ提供企業とのパートナーシップ締結に向けて走り始めました。各地域に様々なメディアがありますし、コンテンツをもっている方との交渉や連携作業のためひたすら飛び回ってました。全部で50社以上はあったかと思いますが、最終的にはアメリカやアジア各国の海外パートナーとの契約も結ぶことができました。契約で得られたデータは綺麗ですけれども、そこに至るまでは地道な業務でしたね。

その後、「SPEEDA」に並ぶユーザベースの主力サービスになっている「NewsPicks」の立ち上げにも携わることができました。

立ち上げメンバーでゼロから、サービス名称、ロゴ、UI・UXを考え、プロトタイプの作成やビジネスモデルの考案もしました。この経験は自分自身にとって大きな財産です。

マーケティングは、ビジネス、デザイン、コミュニケーション、全てが上手く融合されている業務

◆ferret そしてApp Annieに入社。動機・決め手となったものは何だったのでしょうか。

◆羽田氏 ユーザベースで、アプリをゼロから立ち上げて1年が経過したところです。4年半勤務したユーザベースを退社し、2014年10月App Annieに入社しました。

App Annieへの入社は、私自身の次なるステージに進みたい、チャレンジしたいという想いからの決断です。ユーザベースというテクノロジー企業にいた強みを最大限に活かし、世界で通用するマーケターに成長したいという想いからシリコンバレー拠点の企業、App Annieで挑戦をしようと決めました。自分自身の描く将来像と照らし合わせた時に「今だ!」と感じたんです。

App Annieは多くの著名なベンチャーキャピタルから投資を受けてたり、前職の経験から今後アプリの世界というのは伸びていくだろうと感じたのもプラスでした。ユーザーからの必要性というのを凄く感じました。

入社当時は、マーケティングといっても広義だなと思いつつ、具体的には法人向けマーケティングにおけるデジタル化を進化させていきたいという期待が広がっていました。

◆ferret 引き続き、App Annieでもマーケティングの仕事を選んだ理由を教えてください。

◆羽田氏 App Annie入社までに複数社経験してきました。その中で最も自分にあっていると感じたのがマーケティング業務でした。

理由は、ビジネス的な感覚と、デザイン的な感覚、あとコミュニケーション的な感覚、私の中の強みと考えているものを活かせる分野だと思ったからです。全てが上手く融合されている業務だと思えた点です。

◆ferret 業務におけるやりがいというのは、どこでしょうか。

◆羽田氏 マーケティング職は、営業的な側面も、IT分野の知識も、データから読み取れる情報が何を意味するのかも理解しなければなりません。それらに加え、デザインやコミュニケーションに関してもわかれば、尚良しです。

私はそこに強みを発揮できると感じてましたし、現在は、世界中とまでいきませんが、アジア太平洋地域という巨大な市場を相手にマーケティング業務で挑戦できていて、まさにそこがモチベーションになっています。

日英のバイリンガルであり、建築の勉強を通じて培ったデザイン思考の癖もあり、それらを活かせる世界がマーケティングの分野には多い、と感じています。もともと好奇心が強く、ギークな面があってテック系の情報となると物凄く敏感です。

今は業務を通じて吸収する多くの情報が、興味・関心の延長上にあるので、それ自体が業務をより充実させてくれているエッセンスになっているといえます。

◆ferret 今の「羽田さん」を辿るとすると、そのルーツは何でしょうか。

◆羽田氏 高校生の時からインターネット、Web、ITに興味を持ち始め、周りにもそうした友人がたまたま多くいました。その影響もあり、アメリカ東部の大学に進学した際、世界中に広まる前のFacebookに触れられる環境にいたことは今に大きな影響を与えているのかもしれません。

当時から、Facebookをはじめ、Myspace、Friendsterなど多くのSNSに触れ、それ自体も凄く楽しかったのですが、Facebookの登場により"革新的なものが生活に入ってきた"ことに興奮しました。従来は寮の掲示板や電話による内線が仲間との交流する主な手段でしたが、Facebookの登場により一変し、「こうやって劇的に変わっていくんだ」というのを肌で感じたのを、今でもよく覚えています。初期のFacebookに早く触れられる環境にいた自分を本当にラッキーだと思いました。

この経験こそ、"革新的なモノやヒトに触れていたい"と思う私の気持ちを駆り立てるエッセンスかもしれません。

◆ferret ちなみに、現在までに業務おける失敗談はありますか。

◆羽田氏 失敗ではないですが、数多くの泥臭いというか、地道にコツコツとこなしていく業務を経験してきました。すぐに結果が出るものでもなく、時にはモチベーション維持が大変な時もありましたが、長期的な目標に向かって我武者羅に走り続けた時期もあります。こうした時期に腐らず、やりぬくことの大切さというのを学びました。

具体的には、一つがApp Annie入社当時に経験した外資系企業ならではの業務です。App Annieの日本語版Webサイト上の文言は本社の英語版サイトを直訳した程度のもので、ユーザーの心に全く響かない状態になっていました。そこで私は同僚と一緒に連日遅くまでWebサイトコピーの修正やビジュアル面の改善を図り、きちんと自分たちの言葉でユーザーに届くようにリニューアルしました。

本当の意味で”ローカライズ”を果たすためには、ただ翻訳をすればいいということではなく、それぞれの文化に沿った言葉を選ぶ必要があると考えました。

また、過去を振り返ってみると「チームビルディングの難しさ」も学びました。ゼロから組織・サービスを立ち上げる難しさを痛感した一方、泥臭くも一歩ずつ課題をクリアしていくことで得られる成果や達成感もあると思えるようになりました。

例えば、メンバーに指示する前に実際の業務をストップウォッチ片手に自らやってみたこともあります。私も全ての業務において『この業務はどのくらい時間を要するのか』『どうすれば業務効率を高められるか』を理解した上で、メンバーに共有するためです。そうしないと説得力のあることを伝えられないし、メンバーに響かないという想いからですね。こうしたメンバーと向き合うという姿勢は非常に重要だと学びました。

「グローバルに活躍するマーケターになる」という夢をモチベーションにチャレンジを止めない!

◆ferret  羽田さんの将来のキャリアビジョンを教えてください

◆羽田氏 面白い仕組み、世の中の仕組み、プロダクトをつくり、最終的に人の役に立つことができれば、という想いを常に持っています。

マーケティングの定義は、会社によっても、日本全体でも、もちろん世界的に見ても意見が分かれます。ただし、そこを一つひとつ丁寧に定義しながらチーム作りを行っていく必要があり、それをやりぬいた結果、現職に於いては入社当時2人だった状態から今では10人の体制まで持ってこれました。今ではアジア太平洋地域がApp Annie全体の40%を超える売上という状態になり、私のチームはそれにつながるマーケティングの成果を出しています。何でも諦めず、前を見て挑戦することをやめなければ、きっと成果に結び付きます。

そういった意味でも、もっと大きなチャレンジをしていき、将来的には「CMO」というポジションを全うできる人間に成長したいと思っています。

また、これまで数多くの国々をビジネスで見てきましたが、海を渡って感じることは、日本にはチームワークに優れたヒト、ビジネスやモノ作りに適した美しい環境と気候、長い伝統や高い技術に裏付けられたモノが多いということです。そういった日本の良いところ活かして、世界の人々の役に立つ仕事ができればと願っています。もしかしたら日本に於ける海外の人による会社によって成し遂げるのかもしれません。私が内外の世界や異なる分野の人々をつなげる潤滑油になれれば良いのではと考えています。

◆ferret  羽田さんにとって、転職とは何でしょうか。

◆羽田氏  転職は、新たなチャンスを掴みに行くものだと思っています。

今いる場所(企業)でも、工夫次第ではチャンスをつくり出すこともできます。ただ、環境を変えることで一気に違う市場というか、フィールドが広がるので新たなチャンスと出会える可能性が広がる気がします。

そういった意味で、App Annieで私はそれが実現できています。

世界を見渡しても、アジア太平洋地域は現時点でアプリ収益の半分以上を占める重要な地域です。その傾向は変わることなく、2020年までの成長率が最大の地域です。モバイルに関してニーズが高く、モバイルを通じて初めてインターネットにつながる人々が急速に増えています。それに応じるように、アプリを作りだす現地のパブリッシャー企業が多く存在します。

今行っているマーケティング活動を通じて、日本も含め、アジア全体でアプリ運営会社のマーケティング活動や意思決定を支援し、アジア各国発のアプリが自国や域内を超えた輸出産業に育っていけるようチームメンバーと一緒に成功までもっていきたいです。

◆ferret 最後に「Marketer’s Story」を見ているユーザーにメッセージをお願いします。

◆羽田氏 正直、日本国内でしかマーケティングをした経験がなかったので、現職で急に担当地域がアジア全体になった当初は、期待と不安が入り混じっていました。しかし、そこで覚悟を決めて「グローバルに活躍するマーケターになる」という夢をモチベーションに、これまでやってきました。

思い返せば、アメリカから帰国した時は、日本で企業に勤めた経験、アルバイトやインターンすらしたことがなかったので、ビジネスマナーはもちろん、日本語でビジネスメールを打つことだけでも四苦八苦というレベルでした。イメージするのならば、英語が苦手な方が英語でビジネスメールを書くことと一緒だと思います。不安ですよね。場合によっては、友人や親にメールを送信してチェックしてもらっていたぐらいです。

それでも好奇心の赴くまま、如何なることで拒まずに突き進んできた結果、今の自分がいます。

最後までやり抜く自信がなかったとしても、臆することなく、空気を読み過ぎることもなく、立ち向かっていく勇気と多少の図々しさが必要です。重要な場面を嗅ぎわけ、チャンスだと思ったら勇気を出して一歩を踏み出しましょう。結果的に、私は好奇心旺盛という性格がプラスに作用し、とにかくあらゆるものを吸収しようと努力できました。

業務レベル問わず、初めからできる人はいません。 諦めずに「頑張れば何とかなる!掴み取れる!」というポジティブな想いと、チャレンジする勇気がもてるかが重要だと思います。

Marketer’s Story Interviewee

App Annie アジア太平洋地域マーケティング統括担当ディレクター 

羽田隆広 氏(はねだ・たかひろ)

アメリカのウェズリアン大学を卒業後、ニューヨークで建築事務所に就職。その後、日本に帰国して外資系飲料メーカーの関連会社にて初めてマーケティング業務に携わり、リテール店舗向けの広告映像の企画及びディレクションする等を経験。その後、株式会社ユーザベースにて「SPEEDA」「NewsPicks」の立ち上げに参画し、2014年10月にApp Annieに入社。現職においてもマーケティングチームの立ち上げを担当し、現在はアジア各国のマーケティングチームの統括、アメリカ本社との連携を担当。

App Annie https://www.appannie.com/jp/

 

次回、 Marketer’s Story 第4回目は、freee株式会社 経営企画 法人事業戦略 岡田悠 様に登場いただきます。次回もお楽しみに!

 

>> 第1回目 株式会社メルカリ プロモーショングループ シニアマーケティングスペシャリスト 鋤柄直哉 様の記事はこちら

>> 第2回目 株式会社ペロリ クリエイティブ部 部長/SEO部 部長の有川鴻哉 様の記事はこちら

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ライティング:高野大寿

ライティング:高野大寿

Webマーケティング事業部 ferretディレクター。出版社・編集プロダクションにてスポーツを中心とした雑誌・Web媒体の編集・記者を経験。その後、法人企業向け営業支援会社、Web制作会社等にてWebディレクターを務め、株式会社ベーシック入社。「ユーザに寄り添った情報発信」をモットーに編集・執筆に従事。

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